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練吉は永い間黙つていた。それから、いかにもいやいやな調子で、
練吉の切れの長い目は片時もぱちぱちをやめなかつた。その度に、せきこむやうなどこか菓子をせがむときに子供の駄々をこねるのを思はせる調子の声が、もつれ気味につづいて出た。その青いと云ふよりは冷たさを感じさせる色白な額には、やはり上気したやうな紅味が浮んでいた。
のむことなら!といふ風に、練吉は切れ目をぱちぱちさせた。
「それに――」
「いや、高間さんは大漁ですがね。わたしの方はさつぱり駄目ですよ」
「うむ、何かあ」
我々はそれから「き」の字橋まで口をきかずに歩いて行ゆきました。……
「脚気の方は?」
もともと口下手ではあつたが、まだ舌がもつれる風で、一口ごとに息をついて云つた。
と、大声で云ひ聞かせた。
「さうか、惜しかつたな」
房一は来意を告げた。やがて、軽い足どりが聞えたので、さつきの看護婦だとばかり思つて目を上げた房一の前に、頭髪の真白な、稍やや猫背の、ぎよろりとした眼つきの老人が立つていた。一瞬、房一はこの老医師と目を合はせた。何か剥むき出しな、噛みつくやうな眼が房一をぢつと見下していた。が、次の瞬間には、それとはおよそ反対な気軽るな声が、